防災とGISの役割・活用とは

GIS(地理情報システム)は、防災において非常に重要な役割を果たしています。
災害発生前のリスク分析や、災害発生後の復旧活動において、GISを活用することで情報を可視化し、迅速な意思決定をすることが可能になります。

例えば、洪水や地震など、特定の災害リスクを考慮した地域のハザードマップを作成することができます。
これにより、自治体は住民に対して危険地域の周知や避難場所の案内を行うことができるのです。

GISを活用したデータ分析により、過去の災害の傾向を把握し、また様々な災害リスクデータを分析して、将来への対策を練ることができるようになります。
GISは防災対策の重要なテクノロジーとして、今後ますますその活用が期待されています。

GIS防災の基礎知識

GIS(地理情報システム)は、地理情報を用いて様々なデータを管理、分析、可視化するテクノロジーです。

防災分野では、GISを利用することで、地理的な情報と災害データを重ね合わせることが可能になります。
過去の災害データや公開されている地震や洪水などのリスクデータを地図上に表示することで、特定地域のリスクを視覚的に把握でき、地域ごとの適切な防災対策の検討や、住民への啓発活動に役立ちます。

また、GISはリアルタイムデータの取り扱いもできます。災害発生時には、気象情報や被害状況を迅速に可視化・分析し、必要な支援を決定するための重要なツールとして活用することができます。
GISは防災の基礎を支える重要なテクノロジーであり、今後の防災活動に欠かせない存在となっています。

GIS防災の具体的な用途

GIS防災の具体的な用途は多岐にわたります。1つ目に地域別の災害リスクの分析が挙げられます。
特定の地理的条件に基づき、過去の災害データや公開されているリスクデータをもとにリスク評価を行うことで、危険度の高いエリアを特定することができます。この情報を元に自治体は防災計画をより効果的に策定できます。

2つめに避難ルートの最適化があります。GISを用いて、現地の地形や交通網を解析することで、迅速かつ安全な避難経路を設計できます。特に大規模な災害時には、多くの人々が避難を必要とするため、効率的な避難計画が求められます。

また、リアルタイム情報の提供も重要です。災害発生時にGISを使って最新の情報を解析し、住民への情報発信を行うことで、迅速な避難や復旧活動が可能になります。これらの用途を通じて、GISは防災の現場で欠かせない存在となっています。

ハザードマップの作成

ハザードマップの作成は、防災における重要なGIS活用の一つです。
ハザードマップは、特定の地域における自然災害のリスクを可視化した地図であり、住民が自分の住んでいる場所にどれほどの危険が存在するかを理解するための基礎資料となります。

ハザードマップを作成する際は、過去の災害データや公開されているリスクデータを収集します。
過去の洪水、地震、土砂災害などを調査し、それらが発生した地域や頻度を分析します。その後、公開されている大地震の震度予測や降水量などのデータを組み合わせて、リスク評価を行います。

次に、GISを利用してリスクを地図上で視覚的に表現します。色分けやシンボルを用いることで、危険度がひと目で分かるように工夫します。完成したハザードマップは、住民に配布したり、オンラインで公開されることで、多くの人々の防災意識を高めることにつながります。

3Dマッピングとシミュレーション

3Dマッピングとシミュレーションは、防災におけるGISの活用方法のひとつとして注目されています。

3Dマッピングは、地形や建物などを立体的に可視化することで、視覚的な情報を提供し、現場の状況を直感的に理解できるようにします。
この技術を用いることで、災害時の影響を具体的に把握しやすくなります。

3Dマッピングとシミュレーションは情報の可視化と具体化を実現し、防災計画の質を向上に貢献します。

GIS防災の自治体の導入事例



自治体通信(2022年3月号:Vol37)の「防災・危機管理特集」において、山口県周南市様が導入された「防災情報システム」が紹介されました。
山口県は、土砂災害危険箇所数が全国で5番目に多く、周南市様は県内で3番目に多い土砂災害警戒区域を有しています。

今回の特集では、周南市様より「職員間でのスピーディな情報収集・共有・対応の重要性」の解説と、当社がGIS(地理情報システム)ソリューションSUNMAP をパッケージ提供しているパナソニック システムソリューションズ ジャパン(現パナソニック コネクト社)様の『防災情報システム』の事例、及びインタビュー記事が掲載されています。

パナソニック コネクト社と当社は、人々の暮らしを守り、安全安心な街づくりへの貢献に向け、防災対策事業での協業を推進しています。
本記事の詳細は、『自治体通信37号』Online記事よりご覧ください。

▼『自治体通信37号』Online

防災情報システムとは?

頻発する台風・集中豪雨などの自然災害から住民を守るため、自治体では災害対策の見直しが進められています。

今回、周南市様が導入された「防災情報システム」では、災害情報の収集(写真データなどを含む)と、「GIS:地理情報システム」に危険箇所や被害発生状況を表示させる機能も含まれています。
災害状況はリアルタイムで全職員にシェアされるため、各担当者がスムーズに対策を行うことが可能となります。

周南市様が導入された防災情報システムでは、危険個所情報(ハザードマップとの連携)や、リアルタイムに更新される被害の発生状況、避難者状況などの情報を一元管理することが可能です。

この、危険個所や被災地、避難者数などのさまざまな情報を「GIS:地理情報システム」に落とし込み、エリア状況を俯瞰して把握できる機能に当社の「SUNMAP®」が活用されています。


また、システム化することで紙運用で発生していた様々な承認フローを介すことなく、各職員が適宜情報を確認することが出来るため、情報連携をスピーディに行うことが可能になりました。

このような効果により、各担当者がスムーズに対策を行うことが可能となり、より一層、効率的・効果的な避難者支援に取り組むことが可能となります。

GIS防災を成功させるためのポイント

GIS防災を成功させるためには、重要なポイントがあります。
1つ目は、必要なデータ収集が不可欠です。地形や人口、過去の災害データなど、信頼性の高い情報を集めることで、より精度の高い分析が可能になります。

2つめに、関係者間の連携が重要です。自治体や企業、住民が一丸となって情報を共有し、GISデータを活用することで、効果的な防災計画を策定できます。
定期的な訓練などを通じて、メンバーの理解を深めることも助けになります。

このようなポイントを意識することで、GIS防災の効果を最大限に引き出すことができます。

データの収集と管理

データの収集と管理は、GIS防災の基盤を形成する重要な要素です。まず、必要なデータを確保することが必要です。

国や地方自治体が提供する地図データや気象情報、過去の災害履歴など、様々なデータを集約することが重要です。
次に、収集したデータの管理体制を整えることが重要です。データの整備や更新を定期的に行うことで、正確性を保つことができます。また、データのフォーマットや記録方法を統一することも、効率的な分析を行うためには欠かせません。

さらに、データの可視化も重要です。GISを利用すると、地図上にデータを表示することで、わかりやすく情報を伝えることができます。このように、データの収集と管理を徹底することで、GISによる防災対策の効果を最大限に引き出すことができるのです。

ご参考

関連リンク
▼「GISソリューション」サイトはこちら ソリューション

▼「GISマガジン」はこちら ソリューション

パナソニック コネクト株式会社 官公庁/自治体ソリューション
自治体通信 自治体通信オンライン トップ
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2022年1月19日 【自治体通信】「防災GIS:水害予測での活用事例」が紹介されました
2021年8月26日 【電波新聞】慶應義塾大学との共同研究(GIS:地理情報システム)に関する記事が掲載
2020年10月14日 地理情報システム学会(GIS学会)で講演