当社は、2022年から東京大学大学院工学系研究科「中須賀・船瀬・五十里研究室」と「宇宙×IT」「衛星データ×AI」をテーマとした共同研究を進めています。
この取組みの一環として、2024年11月7日、兵庫県姫路市で開催された「第68回宇宙科学技術連合講演会」にて「生成AIを用いた衛星データ活用推進の試み」に関する論文を発表しました。
今後の産業イノベーションの重要なキーワードである「衛星データ」「生成AI」をテーマとした発表であり、会場には多くの聴講者が集まり、活発な質疑応答が行われました。

宇宙科学技術連合とは

宇宙科学技術連合(宇科連)は、国内最大規模の宇宙分野に関する講演会です。研究者や技術者に加え、宇宙政策、ビジネスなど、多岐にわたる分野の産学官の関係者が集まり、活発な議論と意見交換を行う場として知られています。
今回は、多様かつ異なる知識や視点を持つ人々がアイデアを交換し、相互理解を深めることによる革新的な研究成果や新ビジネスの創出を目指し「人の和」をテーマとした過去最高の約1,400件の発表と90団体の展示が行われました。

【発表テーマ】
「生成AIを用いた衛星データ活用推進の試み」

本研究は、これから衛星データを活用しようとする利用者(初心者)が一歩踏み出すことをサポートするためのAIシステムの開発を目指して行われたものです。
衛星データに興味を持った際、まず用途や、使用可能な衛星のタイプといった「活用の方向性」を明確にし、さらに、その方向性に沿って詳細な知識を得て何らかの具体的アプローチをとっていくことになると想定し、それぞれのステップにアプローチすべく、次の二つの課題を定義し、以下2つのAIの試作・評価を行いました。

  1. 活用の方向性を明確にする「窓口」AIの提供:
    利用者が持つ曖昧なイメージから、具体的な使い道の発想を助けて用途を明確にしていく手助けをし、最終的にはそのニーズに最適な専門家AIを紹介することを目指すものです。
  2. 専門家のリアル知見を提供する「専門家」AIの提供:
    窓口AI のナビゲーションの結果、ある程度要件が明確になってきた後で使われることを前提に、実経験に富む専門家知見を活かして、「利用者が次に取るべきステップ」の提供を目指すものです。
    RAGの性能改善のための工夫が重要課題となってきます。

本研究においては、LLM(大規模言語モデル)を活用してこの2つのAIを試作し、簡単な評価を実施しました。LLM活用の重要技術であるシステムプロンプトや RAG適用の工夫により、一定の性能を実現でき、想定したコンセプトの妥当性が検証できました。

衛星データの利用をさらに拡大するためには、多くの人に興味を持っていただくとともに、アクションを検討いただくことがとても重要と考えています。
衛星データの活用をさらに促進し、社会全体に貢献できるよう、さまざまな方と連携し、ニーズの方向性を把握しながら、これらの課題に対して取り組みを継続してまいります。

本論文の発表内容の詳細は「「衛星データ×生成AI」に関する論文発表(第68回宇宙科学技術連合講演会)」をご参照ください。


関連ニュース

2023年03月17日 【産学連携】東京大学大学院工学系研究科「実践宇宙データ活用」の「成果発表会」
2022年10月05日 東京大学の新講座「実践宇宙データ活用」にアドソル日進がAI・IoT分野で協力
2022年02月07日 東京大学との、共同研究(航空・宇宙分野)開始のお知らせ ~「宇宙」×「IT」×「問題解決」で、未来を創る~